碧厳ところどころ
「私は今より30年以前、昭和17、8年から22、3年にかけて、碧巌録を読んだ。バルザック、ジイド、スタンダール、ボードレールから始まって、日本の文学もいろいろと読んだが、自分の心を捉へたのは、碧巌録、臨済録、荘子、白楽天 とバルザックだったが、特に一人の人がまとめた二人の対話と、その註釈と批評と、三段階に立体的編集された碧巌録であった。読んでゆくうちに、雪竇と異 なった解釈の生ずることもあった。」(本書「序」より)
碧巌録は一則から百則まであるが、本書は書名が示すように、その全則についての評釈を試みたものではない。著者は、その中から自分の共感したものだけを取り上げている。謂わば本書は碧巌録を通じて著者が自らの世界を表現した随筆集といえよう。
野口晴哉著 A5判 上製函入 206頁